[大分県臼杵市 カボス]南の大地で愛された早緑色のカボスには、若さを守る力が詰まっている

2022.08.03
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大分県の特産物と言えばカボスのイメージがあるように、カボスの日本総生産量の9割以上を実際に大分県が占めています。そんなカボスは、江戸時代、宗玄という医師が京都から大分に持ち込み、以来、今でも大分では「一家に一本ある」といわれるほど身近な存在。樹齢二百年を超える古い気も散財するほど大事にされています。肌荒れやひび、あかぎれに絞り汁をすりこむ民間療法も伝えられるなど、頼りにされてきました。

そして現代、カボスは化粧品原料としても大きな注目を集めています。その効果は皮脂に対する高い抗酸化効果です。皮脂は外的刺激から肌を守り、美しさや若々しさを保つためにとても大切なもの。ところが、紫外線によるダメージやストレスが引き金となり肌の表面で酸化してしまった皮脂は、肌にダメージを与える「ドロドロな皮脂」へと変質。シミやシワ、くすみなどの年齢サインの原因となってしまいます。「皮脂の酸化」を防ぎ、良質な皮脂を保つことは肌を若々しく保つための重要なポイントです。

今回は、そんな美容にも大活躍のカボスを愛情込めて育てている大分県の峯さんを取材しました。

 

栽培を大変と思うかどうかは自分次第。どの工程も楽しい。

<生産者 峰孝義さん>

風情ある街を抜けて山を登っていくと、目の前に広がる一面早緑色のカボス畑。山々に囲まれたその場所でカボスの生産者である峯さんは40年間カボスを育て続けています。そんな峯さんのカボス栽培のこだわりは濃い緑の質の良いカボスを育てること。緑が濃いほど香りが良くなり、価値が高いと言われるカボス。太陽光をたくさん浴びるほど色が濃くなるため、余分な枝を切る剪定やカボスの周りの葉をちぎることでカボスが影にならないようにするなど、細かな手入れをし続けます。

また、カボスの旬の時期は8月から9月で、収穫は夏真っ盛りに行われます。炎天下の中、鋭いとげでケガをすることもありながら、毎年60トンもの収穫をたった3人で行います。素人目には大変な環境にも関わらず、どの工程も楽しいと語る峯さん。

「僕の人生はカボスと言ってもいいくらい。栽培を大変と思うかどうかは自分次第、自分は大変だとは思わない。カボス栽培は面白くて、育てたものが大きくなったところを見たときは非常に嬉しい。素晴らしい人生、最高に幸せだと思っている。」

カボスの話しをした途端、やわらかい笑顔になり楽しそうに話す峯さんの姿から、カボスへの深い愛情が手に取るように分かりました。そして、カボス栽培に没頭する峯さんの姿に感銘を受けました

捨てる部分のないカボス。味噌汁や鍋料理にも。

「カボスが大好き。食べ物や飲み物にかけると美味しい。身体にもいい。実・皮・種など捨てる部分はないんじゃないかと思うくらいカボスに期待している。」

峯さんはこの言葉の通り、過去には長年に渡りJAおおいたの「県南カボス部会」部会長も務め、全国にカボスの魅力を伝えようと、カボスを使った県産品などの提案を積極的に行ってきました。それらの功績は「大分県農業功労賞」を受賞したこともあるほど。また、毎年、県の新職員の研修の一環として、一日収穫体験の受け入れも行っています。

取材の最後には、味噌汁にカボスを絞ったり、鍋料理には大根おろしに醤油とカボス果汁を入れたりと大分ならではの食べ方も教えてもらい、カボスの持つ可能性に誰よりも期待している峯さんの想いをたくさん感じる時間でした。